┌実─顔面紅潮・煩躁不安・易怒性・イライラ・眼充血・鼻血・高血圧─黄連解毒湯
│ ┌神経過敏・イライラ・易怒性・手足の震え・易疲労・頭痛・眩暈─抑肝散
┌熱┤ ├神経過敏・イライラ・易怒性・不眠・胃部膨満感・咳痰─抑肝散加陳皮半夏
│ └虚┼会話の自発性低下・表情乏しい・顔面熱感・イライラ・易興奮・高血圧─釣藤散
│ └手足ほてり・のぼせ・耳鳴・夜間頻尿・腰下肢脱力感・寝汗・健忘─六味丸
│ ┌貧血・顔色不良・易疲労・食欲不振・健忘・動悸・不眠・不安・寝汗—帰脾湯
└寒─虚┼貧血・顔色不良・健忘・動悸・不安・神経過敏・のぼせ・イライラ—加味帰脾湯
├虚弱体質・貧血・顔色蒼白・四肢冷え・腹痛・皮膚つやなし・抑鬱—当帰芍薬散
├疲労倦怠感・顔色不良・食欲不振・健忘・不安・自汗・咳・痰—人参養栄湯
└腰下肢脱力感・腰痛・夜間頻尿・手足冷え・寒がり・耳鳴・健忘—八味地黄丸
認知症の症状には、中核症状の認知機能障害(記憶障害・見当識障害・判断力低下など)と、それに伴って現れる行動・心理症状(BPSD)(妄想・せん妄・幻覚・興奮・異常行動・抑うつ・徘徊・不眠など)がある。BPSDは、介護する側にとって負担が大きい。
そこで、認知症の治療としては、認知機能障害の進行を抑えたり、BPSDを軽減するための薬が用いられる。
BPSDをやわらげる目的で用いられる代表的な薬が抑肝散や釣藤散である。
抑肝散は、焦燥感が強く、興奮しやすく怒りっぽいものに用いられる。抑肝散証で胃腸虚弱なものには、抑肝散加陳皮半夏を用いる。釣藤散は、高血圧傾向で、慢性頭痛があるもののイライラや興奮に用いられる。
次に、主に認知機能障害の進行を抑える目的では、腎虚に基づくものには六味丸(熱証)や八味地黄丸(寒証)が用いられ、高血圧傾向で顔が赤くイライラが強いものには黄連解毒湯が適する。
また、気血両虚が原因で、貧血や動悸、物忘れなどがあるものには帰脾湯がよく、帰脾湯証で、イライラ、のぼせ等を伴う場合は加味帰脾湯を用いる。
顔色が悪く、皮膚につやがなく、四肢が冷え、浮腫があるものには当帰芍薬散がよく、手術後などで、強い疲労倦怠感や精神不安のあるものには人参養栄湯が用いられる。